サンコー鞄はスーツケースだけを専門に製造を行う日本でも珍しい鞄メーカーです。頑固な職人であった創業者の意志を継ぎ、製品価格に転嫁される広告をせず、良いものを適正価格で必要な人の分だけ作っているため、インターネットが発達するまでは、社名を知っているのは一部の旅行好きの地元の人だけでした。サンコー鞄は今から約100年前、愛知県名古屋市で一人の頑固な鞄職人によって誕生しました。職人と弟子たちが作る厚紙や木材を使った頑丈な旅行用トランクは、やがて戦後、帰国する米国人や、高度成長期に海外へ飛び出す日本人達に広く愛用されました。やがて素材が樹脂に変わり、1971年には日本で初めてキャスター付のスーツケースを開発します。職人達は、欧米人に比べ体格の劣る日本人がより快適に旅行できるようにと常に一貫した思いを込めその後も次々とスーツケースを開発し続けました。1997年にはキャリーバーを取り付け、現在の形のスーツケースを生み出します。
さらに職人達はより快適な旅行のため、軽量製品開発への道を歩み始めます。部品一つ一つを計測し、強度と重量のバランスを取るため試験を繰り返し2006年に誕生した軽量スーツケース「スーパーライト」は、たちまち業界の最先端となり、現在に至るまで常に他社を牽引するパイオニアとして愛されています。時代を切り開くサンコー鞄は、品質に自信を持っています。自社修理可能なスーツケースメーカーは現在では業界でも稀となってしまいましたが、外部委託ではなく社内に修理工房を持ち、職人が修理やメンテナンスを行えるため、様々な気付きを漏らさず、速やかに、製品開発に活かすことができる素晴らしい仕組みです。
2005年からは直販店として、インターネットでスーツケース通販を開始。これまで卸やOEM専門で直接対話する機会のなかったエンドユーザーの意見を聞くことができるようになり、サンコー鞄のスーツケース製造はますます精度を増しました。「快適な旅行のお手伝いをしたい」と願う職人達の手により、現在も次々と新しいスーツケースが生み出されています。